1986年正月 画廊シェーネ 奥田 聰「今年私は、、、」
「東興通信」依頼投稿文より

世の中、物騒な事件が多い昨今であるが、
それでも、ほっと気持ち落ち着く清新な一時というものがる。
冬・・・・・雪深い禅寺の凍てつく、まだ明けには遠い朝まだき、
剃髪した僧侶の洗顔する青い頭上から立ち昇る蒸気を見る時!
春・・・・・
三寒四温の続く日々、雪はもううんざりだと思って
戸を開けると
その音に驚いた小鳥達が飛び立つ際に、
積もった小枝の雪の舞う時!
小枝がしばらく揺れて見える時!
夏・・・・・
空の青さはどこまで続くのだろうと思う様な
夏にはめずらしい上天気に
洗ったばかりの真っ白な洗濯物が顔にふれて
思わずその柔らかな香りを知る時!
秋・・・・・
柿の木の実りが今年は小粒だなあと
眺めた木々の間の空が、
次第に帯状の橙々色に染まる時分に
遠くの豆腐売りのラッパの調子が
かすかになっていく時!
今年もいくつかの展覧会を企画して参ります。
ご覧いただく方達に清新なものを感じていただけることが
少しでも出来たらと思うのですが、、、、、、